僕のリンダ
リンダ、ちゃんと話、聴いてるかい?
君はいつも、上の空。夕日を透かした様な瞳で、ボーッとこっちを、見つめるだけ。
僕は君の気持ちが、サッパリ分からないよ。
リンダ、僕等は何年も、一緒に暮らしていたのにね。
リンダ、覚えてる?僕等がはじめて、出会った日のこと。
ありきたりな出会いだったね。僕も君も、大切な人に捨てられて、夜道を寂しく、歩いていたね。
リンダ、君は強いから、泣いたりなんて、していなかったね。逆にぼくは大泣きで・・・君に慰めて貰ったね。
その時聴こえた女の人の声が、『ヘイ リンダ 泣いてばかりの 恋はもう終わったの』って、歌ってて・・・少し笑えた。
あの日から、僕は君が、大好きだよ。
いつだって、今だって。形は変わって、いったけど。
リンダ、僕等はすれ違いばかりだったね。
僕の好きな映画、君は5分もしないうちに、夢の中だったね。別に僕は、気にしてないけど。だって僕も、君の好きなものに、興味を持てたためしがなかったし。
僕はしなかったけど、我が強い君は、自分の好きなものを、僕に押し付けてきたね。相手にしないと、拗ねて拗ねて・・・部屋中をメチャクチャにしたね。
リンダ、僕はそんな君が堪らなく、愛おしかった。今だって、愛おしいまま。ただ、受け止めるだけの隙間が、心になくなってしまっただけ。
リンダ、いつだったか君は、突然家を出て行ったことが、あったね。
音もなく、コッソリと、真夜中に、君は出て行った。
虫の知らせってやつだったのだろうか?仕事で疲れてきってるはずなのに、夜中に目を覚ました僕。窓の外を見ると、君がフラフラ歩いてゆくのが、見えた。
その時僕は、走って外に、行かなかった。
"行ったきりなら 幸せになればいい。戻る気になりゃ いつでも おいでよ。"昔聴いた、綺麗な顔の男の人の歌。僕の気持ちにソックリで、思い出した。思い出して、しまった。
リンダ、伝わりづらいけど、僕は君の幸せを、一番に祈ったんだ。あの日だって、今だって、祈ってる。ただ君の幸せが、僕の側にあるのか、分からなくなっただけ。
リンダ、覚えてる?僕等が別れを、決めた日のこと。
フラフラ出て行った君が、3日ぶりに帰って来た夕方。僕は何も言わずに、涙も流さずに、只々君を、抱きしめた。
君も何も、言わなかったね。
嬉しかった。幸せだった。君が温かくて、それだけで、僕の胸も温かかった。
だから僕は、決めたんだ。君と別れようと。
"赤い口紅で 鏡に書くけど 文字にならない エピローグ"なんて、美し過ぎる別れの歌が頭をよぎったけど、そんなドラマチックな終わりでは、なかったね。君は赤い口紅なんて、使わないし。
リンダ、僕等の別れは、どこにでもある様な、ありきたりな別れだったね。だけど、ありきたりでも何でも、別れは、悲しいものだね。だって、さよならって言わなければ、ずっと一緒に、いられたんだから。
リンダ、君はいつでも、なかないね。そこが素敵だって、ソファに腰掛けた同僚の加藤が言うけど・・・僕はもう少し、ないてほしかったな。悲しいとか、嬉しいとか・・・もっともっと、教えて欲しかった。分かってあがたかった。
リンダ、今日も君はなかないの?もうすぐ、お別れなんだよ。
加藤が笑顔で、リンダの手を握った。
リンダ、いつもみたいに、睨みつけて、暴れたらいいよ。加藤は優しい奴だから、何したって怒りはしないよ。
だけど君は、大人しかったね。
「家、近いんだから、たまに遊びに来いよ!」
加藤はそう言って、リンダを連れて、歩き出した。
リンダ、ねぇリンダ、どうしたんだよ?君はそんなに、僕のリンダはそんなに、しおらしくなかったろ?もっとワガママで、僕の疲れも、気持ちもそっちのけで、ひっかいて、暴れて・・・
「リンダ・・・」
名前を呼んだ。そしたら涙が、出た。もっと名前を、呼べばよかった。もっと頭を、撫でれば良かった。もっと、もっと・・・僕に甲斐性があれば、良かった。
「ほらさ、お前今仕事忙しいだろ?落ち着いたらさ、迎えに来たらいいよ!なっ?だから・・・リンダはそれまで俺が預かるから、だから、泣くなよー大人の男がさー」
加藤はわざと茶化すように、笑って言った。そしたら益々、泣けてきた。そんな僕の手を、君がガブリと、噛んだ。
痛いって、思った。これでいいんだって、思った。
リンダ、君は最後まで、可愛くないね。だけど、君は本当に、優しいね。今も、出会った日も。ただ少し、愛し方がヘタクソだっただけ、2人とも。
「いいんだ、加藤。リンダとは、これで、いいんだ。」
リンダ、ちゃんと話、聴いてるかい?
君はいつも、上の空。夕日を透かした様な瞳で、ボーッとこっちを、見つめるだけ。
僕は君の気持ちが、サッパリ分からないよ。
リンダ、僕等は何年も、一緒に暮らしていたのにね。
加藤が玄関を出て行った。君を連れて、出て行った。
ギーっと閉まるドアの隙間から、君の瞳によく似た色が、溢れ込んだ。
「リンダ。リンダ。さよなら、僕のリンダ」
引用
『リンダ』竹内まりや
『エピローグ』CHAGE&ASUKA
恋などではないけれど
【はじめに】
この作品は、書店さんとの話の中で、本をPRすることを目的としたフリーペーパーを創ろう!となった際に、私が書いた文章です。
残念ながらフリーペーパーの作成には至っていないので・・・もしも、そういうフリーペーパー創ってみたい!という書店さんや出版社さんなど・・・どなたでも、いらっしゃいましたら是非お声がけ下さい!!
宜しくお願い致します❁
因みにこの作品のテーマは『本に恋する』です。
それでは、本編へ・・・
人気のない放課後の図書室。オレンジ色に膨らむカーテン。
コトンと僕は、いつもの席に腰掛けて、静かに本を開いて前を見る。
今日もいる。無口に、でも優しそうに、僕に微笑むあの子。
恋などではないけれど、僕は毎日、あの子に会いに、ここへ来る。
木炭を片手に、放課後の美術室。僕は真っ白なキャンバスに集まる、光の粒を見つめたまま動かない。
今日も何も、生み出せない。
壁に貼られた僕の絵は、1年前にコンクールで金賞を取った絵。
でも今の僕のキャンバスは、光が踊る白い壁。あの時から僕は、何も生み出せないまま、ずっとここに座っている。
ガタッと椅子から立ち上がって、僕は自然に歩き出す。
恋などではないけれど、僕は今日も、あの子に会いに、図書室へ行く。
「彼のことが、好きなの…」
そう告げた、あの子の長くて柔らかい髪が、午後のオレンジに染まって光る。
『あいつは凄くいい奴だから、頑張れ!応援してる!』
そう言った僕の声は、あの子には決して、届かない。
恋などではないけれど、僕の胸は小さく、激しく、ぎゅっとなって、苦しかった。
今日も光が踊る真っ白なキャンバスの前、僕はただ木炭を握って座っていた。
ふと目に入る、金色に光る僕の絵。
そろそろ何か、描かなくちゃ…
周りの人からの期待が重いんじゃない。期待に応えられない自分が不甲斐ないんじゃない。ただ、怖いだけ。自分が空っぽになってるみたいで、怖いだけ。
「あぁ…!」
スケッチブックの上に置いた本を、ハラリパラリと風がめくって、勝手に物語をさらってゆく。僕はそれを止めるついでに、1ページ開いて、目を落とす。
ハッとした。オレンジ色に膨らむカーテン、キラキラと踊る光の粒。真っ白なドレスを身に纏ったあの子が、僕の目の前で、笑った。
恋などではないけれど、何故だか涙が、止まらなかった。
あの子はくるりと踊るように、走ってゆく。僕はそれを追いかける。
柔らかく揺れる髪も、薄桃色の細い腕も、夕日でオレンジに染まる白いドレスも、全部全部逃さない様に、走らせる。真っ白なキャンバスの上、手を走らせる。
描かなくちゃ、描かなくちゃ。
恋などではないけれど、僕はあの子を、描かなくちゃならない。
還って行ってしまうから。パラリとめくれる本の中、あの子は還って行ってしまうから。
「久しぶりに描いたと思ったら、女の子か…恋か?」
放課後、オレンジ色に染まる美術室。 先生が、ニコニコと僕を茶化して、出て行った。
「いいえ、恋なんかじゃ…」
言いかけて、風にめくれる本が目に入る。あの子が還って行った、小さくて、広い世界。
「ありがとう。」
恋などではないけれど、これは恋なのだ。いつかきっとまた僕は、あの子に会うだろう。もっと大人になったある日、突然に。
だからそれまで
「さようなら。」
キャンバスの上、夕日色に染まったドレスのあの子と、光の粒が揺れる。
僕はそっと、本をカバンにしまった。
6月の女(ひと) ~自作の小さなお話①〜
「私はあなたが、嫌いなの」
あんたは赤い唇で、そう言ったくせに、俺を家に連れ帰った。
昼間から酒、飲んでんの?
だらしなく乱れたタンクトップ姿のあんたは、化粧してる時につけてた口紅みたいな、真っ赤な液体にゆらゆら口づける。
「白いのね、本当に。ずっとそのままの色でいたらいいのに」
嘘つけ。あんたが好きなのは、口紅みたいな、その酒みたいな、深くて艶やかな赤なんだろ?
「はぉー」
赤い香りのため息。しなしなに枯れた、赤いバラ。6月のカレンダーについた、赤いマルと赤いバツ。
あんた、男に捨てられたの?
くちづけてたグラスを置いて、あんたはゆらゆら俺に、触れた。
「赤は嫌いに、なったのよ。あなたも嫌いに、なったのよ」
そう言って、あんたは俺に温かい雫をこぼした。
世の中の女は"ジューンブライド"って、雨の中で永遠を欲しがる。
あんたもそうだったの?
窓の外は、今日もこぼれ落ちる雫で溢れてる。
あんたは今日も、乱れたタンクトップのまま、俺を抱きしめて、泣き続けた。
「本当は、たくさん飾ろうと思ったのよ。たくさん飾ったら、キレイだねって・・・笑っちゃうわよね」
6月に咲き乱れる花は、"移り気"だ。そんなもの、永遠を誓う場に飾るのは、とても"不誠実"だ。
だからあんたは俺のこと、
「だから私はあんたのこと、嫌いになったのよ」
そう言って、あんたはまた、泣いた。電話のベルがずっとあんたを呼んでるのに、あんたは泣き続けた。
俺はあんたの捨ててく愛に染まって、哀しい色になった。
「もしもし。ごめんね、ずっと・・・うん・・・今から出るから!大丈夫!もう、大丈夫だって!あはは・・・」
世界中の雫が枯れ果てた頃、あんたの雫も枯れ果てた。
あんたは青い空の下、やわらかいピンクの口紅を塗って、涼し気なレースのワンピース姿で、部屋を出ていった。
残された俺は部屋の隅、枯れてゆく。あんたの捨てた、愛も哀も、もうすでに色を残してはいない。
レースのワンピースのあんたが、窓の外、楽しそうに揺れる。
6月の花よりも、女の心の方が、よっぽど移り気だ。
❁はじめましての、ご挨拶❁
開いてくださった方、ありがとうございます(*˘︶˘*)
"はじめまして"の方がいるかな?
軽く自己紹介、させて下さい。
名前: 近藤 文菜(こんどう あやな)
下の名前の漢字の説明は、「文章の"文"に菜の花の"菜" と書いて、"文菜"です!」が十八番です。
呼び方: あやな、あや、なんなん、にゃんこ、ぶんちゃん・・・色々あります。好きなもので、呼んであげてください♪笑
どんな人?:
・作家を目指してます。大人向けの童話を書きます。短いです。詩も書きます。長いお話も、書きます。(このブログ内で公開しますので、読んで下さると幸せです♡)
・ホルモン系の病気、パニック障害、嘔吐恐怖症、ADHD←注意欠陥・多動障害(知的発達の障害を伴わない、発達障害)
病気いっぱい。体が弱い。苦手なこと、怖いこと、できないことが、沢山あるダメ人間です。
ただ一つの自慢は、感受性がとても豊かなこと。
・モデル活動をしています。
活動拠点は、美人時計さいたま版→http://prof.bijint.com/MTM2Mjgadab
本の紹介動画サイト『本TUBE』第一期読書モデル→http://www.hon-tube.com/sp/event_5.php
ラジオに出演したことがあります。ポスターに少し載せてもらったこともあります。被写体活動も、メディア活動も、楽しんでやるがモットーです。絵画モデルのアルバイトをていたこともあります。
不思議な経歴、多数?笑
・身長は160.5cm。「イメージより背が高い」と言われることが、多いです。細いというか、小柄。永遠の小学生体型です。笑
・漫画、アニメが大好きです。ドラマや映画も好きです。
ワンクールに何本か、アニメやドラマを観ます!映画館が苦手。映画はお家でゆっくり観たい人です。
・猫を飼っています。名前は"シエル"。ミックスの男の子。グレーと白のジェラトーニみたいな猫です。←少し盛りました・・・笑
このブログで何がしたいの?:
・完成した短編のお話を公開したい!←第一目的です!
・活動報告をしたい!←メディア活動や被写体活動の報告は勿論、病気のこともたまには書きたいかな?
長くなってしまって、ごめんなさい(><)
次は短編のお話公開のブログにしようかな?
また遊びに来てくださったら、嬉しいです(*˙˘˙*)ஐ
拙い文章ですが、どうぞ宜しくお願い致します❁
あやなє( 'Θ' )э